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韓国ドラマ「奇皇后」と「歴史問題」

  • hangulking
  • 2013年11月22日
  • 読了時間: 3分

韓国で放送中の新作ドラマ「奇皇后(キファンフ)」。

歴史を素材としたドラマ(時代劇、大河ドラマ)として有名なMBCで放送されていて、好評である。

MBCは、日本でもお馴染みの「宮廷女官チャングムの誓い」、「チェオクの剣」、「イサン」、「トンイ」、「朱蒙」などを制作・放送してきた。 「チェオクの剣」や「シークレット・ガーデン」のハ・ジウォンと「ファッション70s」、「カンナさん大成功です! (美女はつらいよ)」のチュ・ジンモが主演、視聴率で同時間帯のトップの座をキープしている。

後に奇皇后となる主人公の「キ・スンニャン」を演じる女優ハ・ジウォンの男装演技と、世界征服のモンゴル帝国「元」の従属国に転落しかけた高麗国王の悲しみを好演している俳優チュ・ジンモが見どころ。

高麗人参でも有名な高麗は、朝鮮王朝の直前の王朝で、モンゴルの征服戦略に対し、30年以上を戦争で抵抗したが、結局負けてしまう。最後まで抵抗していた勢力が、今の済州島で虐殺され、生存者たちが今の沖縄地域に亡命した説もある。

その後、モンゴル軍が今の九州地域を侵略したが、台風に遭い、「神風」の言葉が生まれるなど、日本とも関係の深い時代である。 このドラマは、主人公の他、脇役たちの個性豊かなキャラクター、そして「大祚栄」、「ジャイアント」などを手がけた実力派脚本家たちのストーリ構成が人気の要因と考えられている。

しかし、その人気の裏には、放送前からささやかれた「歴史歪曲」という影が潜んでおり、今後の展開が懸念される部分もある。 主人公「キ・スンニャン」は、幼い頃「貢女」として「元」に連行される途中、脱出する過程で母を亡くし、それ以降は監視の目から逃れるため、男装をしたまま生きている。そして、連行された他の「高麗」の女性たちを救出するべく、自ら闇の組織団を立ち上げるなど、たくましくて魅力的な女として描かれている。

「元」の権力にすがり、横暴を繰り返す瀋陽王(高麗国から抜擢された「元」に近い勢力で、現在の満州地域の南半分を統治していた王)に従う時期もあったが、最終的には祖国高麗への愛国に燃える人物として描写されているのだ。 このドラマの歴史歪曲が指摘されているのは、このようなキャラクター設定だ。

歴史上の「奇皇后」は、「元」の「貢女」から皇后にまで登りあがったものの、そのお蔭で高麗の権力者になった兄と共に、「元」に対する「高麗」の独立解放運動を妨害した経緯があり、韓国の歴史では「民族の裏切り者」のイメージが強い。

そのような経緯で、韓国歴史の中で悪女と評判されている「奇皇后」が逆に時代のヒロインとして「誤認」されることに、視聴者たちから懸念の声も上がっている。 これに対しドラマの制作側は、毎回の放送開始前に、「このドラマは高麗時代の末、貢女として『元』に連行され、『元』の皇后になった高麗人『奇皇后』の生涯をモチーフにし、一部架空の人物と事件を扱っている。

実際の歴史とは異なります」と告知することで対応している。 この告知にもかかわらず、社会への悪影響を心配した一部の視聴者からは、「『奇皇后』という名前で主人公が描かれている以上、根本的な問題の解決にはならない」と、依然として懸念の声が上がっている。

一方で、「時代劇といっても所詮ドラマであり、作家の想像によって再解釈されることは仕方ないこと」と認識している視聴者も多い。

賛否両論の中でも好調のドラマ「奇皇后」だが、歴史上の実名をタイトルに掲げている事で、過剰に批判されているようだ。ドラマをはじめとする「大衆文化」は、「歴史問題」や「政治」や「外交」とは別の領域である。冷静になり、ドラマはドラマとして楽しんでほしい。

● 本記事は韓流ポータルサイト「ワウコリア」のコラムコーナーにも掲載しております。

 
 
 

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